イタリア研修名作NO.2 「アテネの学堂」ラファエロ ローマヴァチカン美術館
ユリウス2世の命を受けた、ミケランジェロがシスティーナ礼拝堂に天井画を描きはじめた1508年、ラファエロもまた、同教皇の命によって教皇の居室4室の壁画制作にとりかかった。完成はラファエロの死後4年目の1524年。この4室の総称が「ラファエロの間」である。中でも有名なのが「署名の間」。古代哲学とギリシャ教神学の調和をうたうルネサンス神学の教義が小さな空間一杯に図解されている。ちなみに、最初に制作したこの部屋以外、ラファエロは下絵を描く程度で、実際の制作には弟子達があたったとされている。ミケランジェロの帰省中、ラファエロはシスティーナ礼拝堂に入り、彼の技法を学び応用したという。
アテネの学堂(署名の間)
真理について語り合うギリシアの哲人達が、当時の神学の4っの理想のひとつ「理性により探究される真理」を表している。中央左、レオナルド・ダ・ヴィンチの容貌をしたプラトンが、知識の源としての思想の最高天を指差し、右のアリストテレスは、手のひらを地面に向けて、実在の物理的確かさを暗示している。手前ではミケランジェロの容貌をしたヘラクリトスが、一人寂しく、物事の終わりなき変転について思索している。右側で黒板に身をかがめているのは、ユークリッドの格好をしたブラマンテで、地球儀と天球儀を持つプトレマイオスとゾロアスターの後ろには、画家自身と友人ソドマが描かれ、画家自身と左右対称位置には彼の恋人であったラ・フォルナリーナの姿が確認できる。
古代(ギリシャ)復興というルネサンスのテーマが最もよくわかるラファエロの傑作。